カイロ空港という壁

写真9月5日の早朝というか深夜、10日ぶりにカイロに戻ってきた。

ひとつ失敗したのは、前回出国する前に再入国手続きを忘れたことだ。おかげでもう一度、15ドル支払って観光ビザを取得する羽目になった。

まあ、エジプト人で混み合うモガンマア(ビザ関連のオフィスも入った巨大な合同庁舎)で「本当にここでいいのかな?」と不安を抱えながら順番待ちすることを考えたら、高くはないのかもしれない。

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ところで、1991年に自分が初めてカイロに降り立った時と比べると、カイロの空港も変わった。第二ターミナルができて、元々のところも国際空港チックに洗練されたみたい。

ただ、初めての旅行者にとって結構戸惑うことも多い。

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飛行機を降りて、少し通路を歩いてくると、もうそこに旅行会社の人が待ち構えているのだ。
普通なら、入国審査を終え、荷物を受取り、そしてゲートをでたところで初めて到着乗客以外の人たちが待っているものだが、エジプトでは、入国審査前のスペースにいる。

国内であらかじめ旅行手配している人にとっては、自分の名前を書いたボードを掲げている人がここから案内してくれるのは非常にありがたいことだ。

ただそうでない人には結構戸惑うことも。
今はどうだかわからないが、昔は、特に出迎えではない一般の旅行会社の人がここに入り込めた。

そして、到着したばかりの旅行者に、まるで空港スタッフのように話しかけ、ビザ手続きなど一緒に行い、そのままタクシー・ホテル手配などもしてしまうということが多かった。

ビザや両替など手伝ってもらっちゃうと、意外にノーと言いにくくなる日本人などは、格好の標的だった気がする。

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ちょっと見づらいかもしれないけど、これは入国審査のカウンターを外から撮ったもの。出口に背広姿の人が待ち構えている。こちらもでてくるとすぐに「エクスキューズ・ミー」と、やはり空港職員のような口調で「カイロ市内での宿泊先は決まっているか。出迎えの人はいるのか」など質問してくる。

完全に立ち止まってしまうと面倒なので、少しだけ歩をゆるめ「ホテルは予約している。ホテルまで行くのも問題ない」と答えて通り過ぎる。

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そして荷物をピックアップして外にでると、今度はタクシー攻勢。
ガイドブックによると、空港に入れるタクシーを許認可制にしたので、以前のような激しいことにはならないとのこと。

実際よくなっていた。
昔はすごかった。まさに「取り囲まれた」。

観光の国なのに、観光客が到着したその瞬間から「エジプトはもう嫌!」と言いたくなるほどにタクシーの客引きやぼったくり度合は半端じゃなかった。

ぽつんと一人で到着した従順な日本人学生なんて、争奪戦のコマみたいなもの。

「このホテルに泊まる予定」とかいっても、平気で「そのホテルは最近つぶれた」といい、高額コミッションをもらえるホテルに連れて行こうとするのは日常茶飯事だった。

今ではそんなひどくないし、「俺を信じないのか?」とか強い口調で言われても「自分で確認する」とあくまで言い張ることができるようになっている。

なので、タクシーも昔と違ってある程度安心して乗れるようになった。

ただ、夜中の4時とかにカイロ市内に着いたところでどうしようもないので、空港でゆっくりバスを待つことにした。

それでもタクシー運転手が次々声をかけてくる。

「タクシー使わないか?」
「バスで行くからいい」
「朝まで何時間もバスはないぞ」

これは正確ではなく、路線バスなら、本数は少なくて1時間に1本とかになっちゃうけど24時間ある。

「今カイロ市内についても早すぎる。第一ターミナルにいって時間をつぶす」
「それなら第一ターミナルまでタクシーで連れて行ってあげよう」
「いや、シャトルバス使うからいい」
「第一ターミナル行きはないぞ」

これも正確ではない。第一ターミナルと第二ターミナルしかない空港のシャトルバスで、第二から第一へ行くシャトルバスがないはずがない。

ただ実際、駐車場行きのシャトルバスばかりが相次いで到着した。

運転手に「第一ターミナルにはいかないのか」と聞いていると、後ろからさっきのタクシー運転手が大声で話しかけてくる。

「おまえは俺を信じないのか?第一ターミナル行きじゃないといっただろ」
「ただ確認してるだけだ」

うざいなあ。
でも昔はこれを「うざい」の一言では片付けられず、すごい失礼なことをしてるんじゃないかと内心おろおろしたりして、結局そのあたりに付け込まれて、相場の5倍以上の運賃払って目的地まで行く羽目になったりしていた。

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結局、駐車場でシャトルバス乗りかえればいいことが判明して、無事、第一ターミナルに。

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第一ターミナルにあるバス乗り場。
昔はこんなに整備されていなくて、駐車場の奥のほうに「バス停」って感じで存在していたのでわかりにくかった。

バスは行ってしまったばかりだったのか、他に客はおらず。
それでも、キオスクで聞いてみると「毎時間くるから大丈夫」とのこと。

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そのうちだんだんバス待ち客も増え始め、

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1時間チョイ待って無事バスに乗ることができた。
料金は1£(約20円)。

(うざいけど)安全な空港で時間つぶしもできて、節約にもなったので、待った甲斐あったかな。

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さらに、ホテル近くの通りで降りることができ、そこから荷物をガラガラ引きずって直接ホテルに行くこともできた。

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ラマダーン中のカイロの早朝はとても静か。
でもどこかに、「お祭りのあった翌日」みたいな雰囲気が漂っている。

歩いていて感じるのは「帰ってきた感」だ。
やっぱ自分はここが好きなんだなあ。

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ホテルはギリシャに行く前に泊まっていた、「ペンション・ローマ」。
冷房がなく、バス・トイレも共同だが、とてもきれいでスタッフの対応もよく、ヨーロッパ人観光客が大勢泊まっているこじゃれたエコノミーホテルだ。

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ホテルのテラスから見た日の出。

ラマダーン・カリーム♪