中は、自分が想像していたのとまったく違った。
そもそも、寝台列車自体、エジプトで完全コンパートメントのを経験しただけ。
中央に通路があって、両側に窓に並行して三段ベッドが並んでいるんだと思い込んでいた。実際には、三段ベッドは、片側に2つが向かい合わせであり、特に扉があるわけではないが、6人がひとつのグループというか房のようになっている。
比較的新しい車両のようで、ベッドも荷物棚もとにかくきれい。
心配していた自分の荷物も、棚にあげてしまえば安心。
そして、反対側には通路があり、窓の下に小さなテーブルがあり、その両脇に折り畳み式の椅子がついている。
ベッドは、一番下が料金高いのだが、その理由もよくわかった。
そこだと、寝ている時以外も、ずっと自分のベッドにゆったり座って、ベッドの間にあるテーブルに食べ物や飲み物を並べて旅行できるのだ。
中・上段は、ベッドの上に座ると頭がぶつかってしまうような高さなので、寝て過ごすか、あるいはこの折り畳み椅子に座るか、あるいは下段の人に軽く断ってそこにお邪魔させてもらうか・・・だ。
同じグループ同士でなくても、みな割とすぐ打ち解けて、いろいろ話が盛り上がっている。中国語できたらすごくこういう時楽しいだろうなあ・・・と真剣に思った。
それでも、最初に自分がチケットを見せて「ここでいいんですか?」と聞いた中国人の女性はとても自分に気を使ってくれ、荷物の置き場を作ってくれ、乗せるのを手伝ってくれたり、(ぜんぜんわからないので困るんだけど)にこやかにいろいろ話しかけてくれた。
動きだしてすぐ、車掌がまわってきた。
東欧の人みたいな顔立ち。
街中でヨーロッパ系の顔立ちの人も多く見かけるようになってきたが、何族の人なんだろう?
車掌さんに切符を渡すと、代わりにこんなプラスチックの札をくれる。
私が渡した切符は、車掌さんが持っているクリアケースのポケットの「4号車の4番の中段」に納められる。
車掌は駅が近付くたび、それを見ながら、次の駅で降りる人を起こし、再びこの札と切符を交換するという仕組みだ。安心して寝ていられる。
そして翌朝。
ああ~よく寝た!といいたいところだけど、まったく。。。
揺れと音が半端じゃない。
ベッドそのものは、狭いところが意外に好きな自分にとっては快適だったんだけど、「なぜレールの上を走っているのに、こんな不規則な動きをするんだ?」という揺れというか揺さぶりに、うつらうつら状態のまま朝を迎えてしまった。
特に朝ごはんも用意してこなかったので、お菓子をぼりぼりつまみながらベッドでごろごろしていたら、下からものすごくいい香りが立ち上ってきた。
どうやら、みなカップ麺を持参しているらしい。
お湯は、各房に大きなポットが2つずつ置かれていた。
スパイシーな香りも含め、いろいろな麺の香りがまじって漂っている。よし、次は自分もカップ麺と果物を持ってくるぞ。
洗面所もきれい(新しい車両だったことに感謝!)
同じ房の女性からみかんをもらった。
今シーズン初みかんだ。
果物は日本のがやっぱり一番!と思ったりしているのだが(日本にないものは別として、りんごとかみかんとか)、このみかんは普通に甘くて味が濃くて、おいしかった。
中段から下を見下ろすとこんな感じ。
今回の乗車時間は、14時間半くらいだが、このくらいならちょっと寝不足気味になるくらいで余裕だ。
不安だった長時間の寝台列車もクリアできてひと安心。
これであとは、中国語さえできればばっちり!
そして、何を話しているのかわからないが、ずっとずっと話し続けている乗客たち。男性は意外に寡黙な人が多かったけど。
隣のベッドの中国人の女性が、自分が持っていたガイドブックを指さして「見せて」という。「日本語だけですよ」と日本語で答えながら渡すと、なんか真剣に読んでいた。地名などはちゃんと簡体字表記になっているので、それなりにわかるのかもしれない。
隣の車両に行ったら、やはりこちらは少し古いものだったようで、通路とベッドの間の仕切りがなく、はしごがついていた(自分たちの車両には、はしごがなく、よじのぼる形だった)
次に予約するとしたら、やはり下段がいい。
それがダメなら、窓の外を見ることができる中段。
上段は登るのも大変なので、できれば避けたい。
やはり料金は、ちゃんとそれなりについているんだと思った。
クチャ(庫車)到着!
> 続く