旅行先でうろうろ、ただ街中を歩きまわっていると、結構いろんなシーンに出くわして「ラッキー」ということがある。ストイックに観光地巡りをしていたらなかなか体験できないことも。
カシュガルでは、人民公園で出くわした市内中学校のイベントだ。
それは、バスターミナルに行こうと、街の中心にある人民公園を突っ切っていた時のこと。大きな町には、必ず中心近くに広場・公園があって、(それがなんなのかわからないけど)モニュメントと国旗台があったりした。
カシュガルの人民公園も中で迷いそうなほどに広かった。
というか、普通に迷った。
で、たどりついたのは人民路に面した広場。
これがラッキーでもありアンラッキーでもあった。
ラッキーだったのは、広場で夜開催された、おもしろいイベントを見れたこと。
アンラッキーだったのは、バスチケット販売窓口が閉まってしまい、翌日それで半日つぶれた上、寝台バスのチケットが最終的に買えなかったこと。
広場の映像を撮影していたら、突如どこからともなく、揃いのジャージ(今もジャージっていうの?)を着た生徒達が、手に椅子を持って入場してきた。
公園内でも、お風呂の椅子みたいなのを持った中学生の姿を何人か見かけ、「どこかでスポーツ観戦でもするのか?それとも友達同士、公園に座って夕涼みでもする習慣があるのか?」と不思議に思っていたところだった。
前日から設営されていた舞台の前に、列を揃えてすわってゆく。
色とりどりの椅子。
マイチェアなんだろうか?
そのうち、ものすごい数の生徒たちで埋め尽くされていった。
最初、その周辺で見ている人は自分含め十数人だったが、ギャラリーの数もどんどん増えていった。
ギャラリーの最前列で、なぜかビデオを構えてずっと眺めていた自分は、関係者ちっくに見えたのだろうか。あとから来る人が「ここで何が始まるんだ?」「何時にスタートするんだ?」といったようなことを聞いてくる。
言葉がまったく通じないことに慣れ始めていた自分。
相手の言葉がわからず、何と答えていいかモゴモゴしてるよりは、表情・ジェスチャー交えて、普通に日本語ではっきり答えたほうが、相手に意図が通じやすいことにも気付いた。
「私もわからないんですよ。(時計を指さし)6時からここにいるんですが・・・」
「クリェー(韓国人)?」
「メン・ヤップンイェー(日本人です)」
ああ、そうなんだ。なんちゃらかんちゃら・・・何かウイグル語で笑いながら話して、そして去ってゆく。
生徒に人気があるらしい男の先生。
歩きまわりながら
「ほらお前、ちゃんとファスナー閉めろよ。先生が閉めてやろうか」
「うっ!せ、先生・・・苦しい・・・!殺さないでください!(笑」
みたいな感じで、
待ち時間を退屈しきっている生徒たちを笑わせ続けていた。
気づくとかなり周辺は暗くなってきていた。
自分も、何が始まるのかもわからないのに、よく根気強く待っていたよなあ・・・。
やはり、「喀什二中」(カシュガル第二中学校?)の生徒による公演みたいだ。
クラブ活動の発表みたいなものなのか?
それとも、文化祭みたいなものにクラスで何をやるか決めて練習してきたのか?
いや、やっぱりクラブ(部活)だろうなあ。
付け刃でできることじゃなく、かなり本格的な舞いだったんで。
旅行者として、普通に楽しめてしまった。
タダで観れてラッキー♪
中国伝統舞踊みたいなのもあれば、モダンダンスも。
見ている生徒も真剣。
花束贈呈あり、大拍手あり。
途中で、やはり中学生くらいの年頃の子どもたちなんだけど、全員迷彩服に帽子をかぶった子供たちもやってきて、前のほうに並んで鑑賞していた。
きっと、軍の学校もあるんだろうな(女の子の生徒も結構いた)。
すごいかわいく、また舞いも魅力的だったのがこの子。
先生?か誰かがまんなかでうたい、その後ろでふわふわと舞っていたのだが、そのなんとも和ませる表情に目が釘づけになってしまった。
バンドも。
ボーカルは男の子と女の子がひとりずつ順番に登場。
男の子はちょっとあれだったが、英語でうたった女の子のほうは、声量もあってすごくよかった。
チャチャチャ。
日本だったら「ソイヤー!」と掛け声がかかりそうな踊り。
これも、切れのあるリズミカルな動きが観ていても気持ちよく、楽しめた。
で、1時間以上鑑賞していたけど、まだまだ延々と続きそうだったので、「そうそう、和田(ホータン)行きのバスチケットを買いにきたんだった!」と思いだし、後ろ髪ひかれる思いで、ギャラリーの輪からはずれた。
気づいたら、ギャラリー層も分厚くなっていた。
最前列のベストポジションでずっと見れていた自分は、本当にラッキーだ。
で。
肝心の和田(ホータン)行きの寝台チケットは、販売窓口が9時半に閉まってしまうため買えず。
翌日行ったものの売り切れいていて、結局、翌日ミスコミュニケーションで3度もバスターミナルに足を運び、買えたのは寝台ではない普通のチケットだった。
ま、いい催しを偶然見れたんだからいっか♪
時間に追われないひとり旅行のよさって、こういう時に実感する。
> 続く